皆様は福島の日本酒というとどのようなイメージをお持ちでしょうか。
福島のお酒というと毎年全国新酒鑑評会※1で金賞をたくさん取り、まさに吟醸大国のイメージがあります!
※1 全国新酒鑑評会は日本酒の品質・製造技術の向上を目的として開催されているコンクール。華やかな香りを持つ吟醸酒が多く受賞する傾向があります。
そんな福島のお酒において、一線を画すようなお酒を紹介していきたいと思います。
サラリーマン唎酒師の酔いどれ紳士が実際に飲んでレポートしてみました!
是非、今宵のお酒のヒントとなれば幸いです!

会津ほまれ「ならぬことはならぬものです」について
会津ほまれ「ならぬことはならぬものです」は福島県会津ほまれ様の商品となります。
以下スペックです。
ならぬことはならぬものです 純米原酒
- 原材料名:福島県産夢の香
- 種類:純米酒(お米100%)
- 精米歩合(玄米の重量に対する白米の重量の割合):58%
- アルコール度数:16度
- 日本酒度(甘辛の指標。平均は-5~+5程度。+なら辛口傾向、-なら甘口傾向):2.3
- 酸度(含まれる酸の量。平均は1.3程度。高いと濃厚傾向、低いと端麗傾向):1.5
- アミノ酸度(含まれるアミノ酸の量。平均は1.3程度。多いと濃厚傾向、低いと端麗傾向):1.1
- 特記:9号系酵母※2(吟醸酒を造る際に使われる酵母。華やかな甘い香りが特徴)
会津ほまれ様HPよりデータを参照
※2 酵母については9号酵母以外も存在しています。紹介するお酒に該当する酵母はその都度紹介していきたいと思います。酵母一覧についてはWikipedia様のページを参照してください。
スペックより、
原酒のためアルコール度数が高め(※原酒は加水をしていないためアルコール度数は高い傾向)で、
お酒本来のパワフルな風味が期待できそうです。
福島のお酒は吟醸が多く甘めでフルーティなイメージが強いですが、
そのイメージとは一線を画している可能性が高そうです。
ただ、吟醸酵母の9号系酵母を使用しているので華やかな甘さとパワフルな風味の二刀流の風味を期待できそうです!
実際に飲んでみましょう
さて、
封を開けて匂いを嗅いでみると、軽いバナナのような香り!?
そのままお酒を口に運んでみると、第一印象は刺激的で強めの苦み!
その後、穏やかな優しいお米の甘みが口に広がります。
使用しているお水が軟水なのか、口当たりは柔らかく丸みのあるスッキリ感覚が心地よいです。
後味に再度軽めの苦みがきて、じわじわと続いていきます。
最初に来た強い苦みは強めのアルコールが由来※3、
後味に来た軽めの苦みは吟醸酵母が由来※4かと思われます。
※3 アルコールの風味:口に含んだ時の刺激的な苦みが特徴。甘味の強化
※4 吟醸酵母の風味:後味にじわじわくる軽めの苦みが特徴。
まとめ
今回は、
吟醸大国福島の吟醸でない純米原酒の会津ほまれ「ならぬことはならぬものです」を飲んでみました。
華やかで甘いお酒が多いイメージの福島のお酒のよい部分を持ちつつ、
刺激的、じわじわな2種類の苦みと優しいお米の甘味も楽しめる、まさに二刀流!
弱者には優しい一方、「ならぬことはならぬ」と責任を厳しく追及する会津武士の魂を体現しているお酒ではないでしょうか。
最後に日本酒の風味分類を行います。
(日本酒の風味分類の詳細についてははじめにの「日本酒の風味分類について」をご参照ください。)
後々にこの日本酒がどのような風味なのか思い出すのに役に立ってもらえるでしょう。
日本酒には以下のタイプがあります。
- 華やかなフルーツの香りを持つフルーティタイプ
- 昔ながらのお米、乳酸の香りが強いオリジナルタイプ
- 熟成させて熟成香が出てきたエイジングタイプ
今回の会津ほまれ「ならぬことはならぬものです」は華やかな香りを持つフルーティタイプとなりますが、俯瞰してみるともっと香りの強いフルーティタイプのお酒はあるので香りは低いでしょうか。
味は穏やかな甘みとスッキリさがありますが、2種類の苦みがあり、強めに評価しました。

以上、ご閲覧ありがとうございました。
皆様の今宵のお酒のヒントになれたら幸いです。
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