江戸時代から使われている最古の酒米に雄町があります。
雄町で造られたお酒はふくよかで濃厚になることが多く、現在でもファンは多いです。
そんな雄町に最近開発された酵母を使用するとどうなるのか。
皆様は興味ありませんか!?
今日はそんな1本を紹介してみます!
サラリーマン唎酒師の酔いどれ紳士が実際に飲んでレポートしてみました!
是非、今宵のお酒のヒントとなれば幸いです!

誠鏡「番外品 純米雄町80 生詰」について
誠鏡「番外品 純米雄町80 生詰」は広島県中尾醸造様の商品となります。
以下スペックです。
誠鏡「番外品 純米雄町80 生詰」
- 原材料名:雄町米※1
- 種類:純米(お米100%)
- 精米歩合(玄米の重量に対する白米の重量の割合):80%
- アルコール度数:16度
- 酸度(含まれる酸の量。平均は1.3程度。高いと濃厚傾向、低いと端麗傾向):1.3
- 特記1:番外品とは、酒造が特別に造ったお酒。いつものお酒とは違う個性を持つものです。
- 特記2:生詰とは、お酒を絞った後の火入れ(加熱)を貯蔵前に行い、出荷前には行わないお酒です。(通常、火入れは貯蔵前、出荷前の2回行います。)火入れが少ないため、生の風味を多く残し口当たりは柔らかくなります。
- 特記3:19号系酵母(1901)※2(最近(2014年)開発された吟醸酵母。バナナ系の甘い香りが多いのが特徴。海外輸出用のお酒に使用されることが多い)
ラベルよりデータを参照
※1 日本最古の酒米で、とてもふくよかで濃厚な風味になりやすいです。端麗ブーム等で一時栽培量が減り、幻の酒米とも呼ばれることもありました。
※2 酵母については19号酵母以外も存在しています。紹介するお酒に該当する酵母はその都度紹介していきたいと思います。酵母一覧についてはWikipedia様のページを参照してください。
スペックより、古くからある濃厚の酒米を使用し、精米歩合も80%とあまり精米していないので、
濃厚なお米の風味を楽しめそうです。
また生詰、広島のお酒(軟水が多い)のため、口当たりも柔らかく飲みやすそうです。
ただ、19号酵母を使用した影響がどうなるのかが気になりますね。
19号酵母は専ら海外輸出用のお酒用のため、日本国内のお酒に使用されることは少なく
自分もあまり飲んだ経験がないので。
実際に飲んでみましょう
さて、
封を開けて匂いを嗅いでみると、バナナ系の甘い香りとムワっとする麹の香り。
そのままお酒を口に運んでみると、口当たりはとても柔らかく雄町とは思えないほど爽やか!
その一方、あまり精米していないためかお米の歯ごたえをしっかり感じ、
ご飯を食べているような旨味、そして濃厚さもあります。
後味に吟醸酵母由来の苦みも僅かに加わり、口の中をスッキリしてくれているようです!
まさに、
旧酒米「雄町」の濃厚さと新酵母「19号酵母」のバナナ系の甘い香りがせめぎ合い、絶妙なバランスで成り立っている感。
少しでも双方の値が変わるだけで、お酒のバランスが崩壊して別の風味になってしまうような
薄氷一枚の危うさを感じるお酒でした。
まとめ
今回は、
旧酒米と新酵母のせめぎ合いを繰り広げる誠鏡「番外品 純米雄町80 生詰」を飲んでみました。
旧酒米「雄町」の濃厚さvs新酵母「19号酵母」のバナナ系の甘い香りの
せめぎ合いを調整し、これしかない!という絶妙なバランスで保っているお酒でした。
雄町と19号酵母のどちらも従順に調教された中尾醸造様の一人勝ちといったところでしょうかw
最後に日本酒の風味分類を行います。
(日本酒の風味分類の詳細についてははじめにの「日本酒の風味分類について」をご参照ください。)
後々にこの日本酒がどのような風味なのか思い出すのに役に立ってもらえるでしょう。
日本酒には以下のタイプがあります。
- 華やかなフルーツの香りを持つフルーティタイプ
- 昔ながらのお米、乳酸の香りが強いオリジナルタイプ
- 熟成させて熟成香が出てきたエイジングタイプ
今回の誠鏡「番外品 純米雄町80 生詰」はバナナ系の甘い香りがありますが、
麹の香りもあること、原材料、種類、精米歩合等の要素も加味すると
昔ながらのお米、乳酸の香りが強いオリジナルタイプとなります。
香りは麹の香りとバナナ系の甘い香りもありますが、
オリジナルタイプには香りの強いお酒はさらに強烈なため普通に評価しました。
味は爽やかさもありますが、お米のしっかりした旨味、濃厚さもあるのでちょっと強めに評価しました。

以上、ご閲覧ありがとうございました。
皆様の今宵のお酒のヒントになれたら幸いです。
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