かつて、お酒の発酵タンクには木桶が使用されていました。
ですが、温度管理や中身の漏れ等の手間がかかるため、近年は琺瑯タンクが主流になっています。
しかし、現在も木桶を使用し伝統的なお酒造りを繋げている酒造もたくさんあります。
今日は、その伝統的な木桶醗酵を続けている1本を紹介してみます!
サラリーマン唎酒師の酔いどれ紳士が実際に飲んでレポートしてみました!
是非、今宵のお酒のヒントとなれば幸いです!

「龍勢 BAILA 木桶醗酵 特別純米」について
「龍勢 BAILA 木桶醗酵 特別純米」については広島県藤井酒造様の商品となります。
以下スペックです。
「龍勢 BAILA 木桶醗酵 特別純米」
- 種類:特別純米※1(お米100%)
- 精米歩合(玄米の重量に対する白米の重量の割合):60%
- アルコール度数:16度
- 特記1:BAILAとは、十二神将の一神「波夷羅大将」のことです。ラベルの絵の人ですかね。
- 特記2:木桶醗酵(発酵)とは、木桶の中で微生物の働きで発酵させる伝統的な製法です。木桶には無数の穴があり、そこに多種多様な微生物が住み着き複雑な風味となります。ただ、発酵には年単位の時間がかかります。
ラベルよりデータを参照
※1 特別純米とは、精米歩合が60%以下、または特別な製法(当社比)で造られた純米酒です。
スペックより、伝統的な木桶醗酵で多種多様な微生物により複雑な風味になっている純米酒です。
木桶を使用しているので、特別な製法として「特別純米」と名付けられたのでしょうか!
伝統的な木桶醗酵の効果、楽しみです!
実際に飲んでみましょう
さて、
封を開けて匂いを嗅いでみると、しっかりした濃いお米の香り。
そして、濃厚なサワークリームの酸味を感じます!
木桶に住み着いた微生物の発酵により、乳酸含め色々な酸が造られ、酸味が濃くなっているようです。
ちなみに木桶ですが、木の香りはお酒にはありませんでした。
そのままお酒を口に運んでみると、
広島の軟水の影響で口当たりはとても柔らかく、そして生クリームのようなまろやかさ!
純米によるお米のボリューム感もありますが、木桶醗酵の年単位の発酵により、
微生物の発酵で生まれた酸が落ち着いてクリームのような風味を出しているのではないでしょうか!
後味には赤ワインと同様に、
木桶を使用していることによる渋み(タンニン)の強いえぐみが長く残ります!
まとめ
今回は、
伝統の木桶の効果を持つお酒「龍勢 BAILA 木桶醗酵 特別純米」を飲んでみました。
スペックの通り、木桶醗酵の多様な微生物による年単位の発酵から、
クリーミーで濃厚かつまろやかなお酒でした。
後味には、赤ウィンのように渋みがあり、油の多いこってりした料理にも相性がよさそうです!
最後に日本酒の風味分類を行います。
(日本酒の風味分類の詳細についてははじめにの「日本酒の風味分類について」をご参照ください。)
後々にこの日本酒がどのような風味なのか思い出すのに役に立ってもらえるでしょう。
日本酒には以下のタイプがあります。
- 華やかなフルーツの香りを持つフルーティタイプ
- 昔ながらのお米、乳酸の香りが強いオリジナルタイプ
- 熟成させて熟成香が出てきたエイジングタイプ
今回の「龍勢 BAILA 木桶醗酵 特別純米」は
しっかりしたお米の香りと濃厚な強い酸味の香りが主となっていて、
昔ながらのお米、乳酸の香りが強いオリジナルタイプとなります。
お米の香り、酸の香りともにしっかり強いですが、刺激的な香りではないので、強めに評価しました。
(麹のような刺激的な香りのお酒もあります。)
味はお米のボリューム感、酸のクリーミーさ、後味のタンニンがあり、
それぞれの強い要素が複雑な風味を造っているので、強いとしました。

以上、ご閲覧ありがとうございました。
皆様の今宵のお酒のヒントになれたら幸いです。
コメント